先日オランダの現地小学校のグループ4に属する長女(8歳)のクラスの担任の先生から、遠足に行くに当たり車を出してくれる保護者ボランティアの募集連絡がありました。
オランダでは保護者がボランティアとして積極的に学校行事運営に参加・協力するのが主流らしいので、去年のグループ3の頃からちょくちょくそういった募集連絡はあったのですが、言語がままならないという理由と、ドライバーの仕事柄いつ依頼が来るか分からないという理由から、こういった類いの募集は実質上スルーしていました。
それこそオランダに来て間もない頃は積極的にボランティアに参加しなければ!とフェルト切り抜き作業に飛び込んだり、アップルタルト作りに妻が参加したり、年度末などに定期的に募集のかかる教室の掃除には、義弟が遊びに来ているタイミングで一緒に参加したりとがんばっていましたが、夜の時間帯は家で4人の面倒を見る妻が結局大変になるので、それも本末転倒と考え、気持ち的にも時間的にも余裕がある時に参加すればいいやという考え方にシフトして、それ以降は学校のボランティア活動には参加していませんでした。
今回の遠足に関しては、スケジュールが空いていたのに加え、オランダ語習得に一番苦労している長女がクラスメイトとどう過ごしているか常日頃気になっていたのと、長女に「パパが遠足付いて行こかな〜?」と様子を伺うと「来て来てー!」と熱烈歓迎だったので、この日に仕事が入ってもお断りしようと決め(結局ご依頼はなく取り越し苦労に終わりました。)初めて車でボランティアに参加することにしました。
遠足と言っても学校でお昼を早く食べて11:45から約40km離れたドルドレヒトという町にあるに行って、学校が終わる14:30頃に帰って来るという課外授業です。
長女は僕が付いて行くと決まった時からその日を待ちわびてくれていて、しきりに「教室に早く来てよ!」と言うので何かな?と思っていたのですが、当日出発の15分前に教室に行くとバラバラと他のボランティアのお母さん達も集まって来て、そのまま流れで教室に入りました。
教室の前方のスクリーンに博物館までの地図を映し出していて、担任の先生が保護者に向かってオランダ語で何やら説明を始めましたが、当然何を言っているのか分からずいると、同じボランティアオランダ語教室に参加しているオランダ語上級者のスペイン人のお母さんが英語で僕に「博物館の近くにはパーキングがないから、少し離れたパーキングに停めるのよ。」と説明してくれました。(十中八九そう言っているんだろうなというレベルの英語のヒアリング力ですが 笑)
そして担任の先生が細長く切った紙を渡してくれて、その裏に駐車場の住所を手書きしてくれていました。
その紙には班分けの表がプリントされていて、表の上部に保護者の名前、下部に生徒の名前が並んでいて全部で7班に分かれていました。
父親は僕だけでしたが、この日はたまたまそうだっただけで、オランダでは平日に父親が学校行事に参加することは珍しくも何ともないので、子供達も特に男親がいることに違和感を感じていません。
小さな学校なので遠く日本からやって来た4姉妹の親ということで学校内で僕と妻のことを知らない人は一人もいないことはひしひしと感じています。
あるとすればその珍しいアジア人の4姉妹のパパはどんな奴なんだ?という興味でしょうか?
いや、子供からしたらそんなこともどうでも良くて早く出発したいとウズウズしているようでした。
長女は相当うれしそうでテンションが上がりまくっていて、やたらすがりついて来るのをなだめている状態でした。
担任の先生が表を見ながら保護者の名前を読み上げ、次にその班に振り分けられた子供達の名前を読み上げ、OKの合図でその保護者とその班の子供達が教室から出て行きます。
この班分けイベントが子供達の最初の楽しみでそれなりの盛り上がりを見せており、長女もこれを分かっていたのでしきりに教室に早く来いと言っていたようでした。
保護者の車種によって乗れる人数が変わるので班の人数も変わるのですが、僕の車はドライバーを除いて後6人乗れるので長女を含む6人の子供達の名前が書いてありました。
僕の班は3番目に発表されて女子3名男子2名、もう一人は風邪か何かで欠席だったので5名の子供達で構成されていて、みんなで教室から出ました。
長女はうれしさのあまり僕の片足にしがみついて歩きにくいノリを班の子供達に見せびらかしつつ、校庭に出ると男の子達がダッシュして車に向かったので負けじとダッシュして抜き去ってやりました(笑)
日本でもそうでしたが、親戚の子供達に混じって一緒にゲームや遊園地の乗り物を夢中で楽しむので、結婚したての頃は妻方の、たくさんいる従姉妹の子供達に「大人やのに・・・」と唖然とされていました。
同じ目線で楽しむことが子供の心を掴む一番の方法だと思っています。
子供達はしっかりそれぞれジュニアシートを持参しており、それを車に設置して全員のシートベルトを確認して、いざ出発!とにかく現地へ向かいます。
担任の女性の先生はもうすぐ赤ちゃんが生まれる大きなお腹のまま自分の車を運転します。
道中は長女がはしゃぎまくって女子3人は終始キャーキャー言っており、僕は高速道路から時々見える草原の馬や牛や羊を指差し、男の子2人に覚えたてのオランダ語の単語が通じるか試みていました。(割とイケたと思います。)
走ること約30分。博物館近くの無料駐車場に到着すると続々と他の車も到着します。
担任の先生を中心に子供達が集まって行き、保護者が慣れた様子でそれをサポートします。
保護者の中でもボランティアにはいつも参加しているのか、ちょっと強面のインドネシア系移民のお母さんがリーダーらしき存在で、クラスの子供達の名前を覚えており、博物館に歩いて向かう道中もっと急ぎなさいとか、車に注意しなさいとか、それぞれの名前を呼んでいるのが印象的でした。
僕は何となく最後部に位置し、一緒に歩いていましたが、他のお母さん達が見事な連携で四方から子供達の列を囲み、列が乱れない様うまく自然なフォーメーションが組まれていました。
クラスメイトの中には日本同様クソガキがいて、そいつが歩きながらいちいち砂山を登ったり、ちょっとした段の上を歩いたり、他の子にちょっかいをかけたりしてしょっちゅう先生やお母さん方から怒られていました。
自由な国とは言え、先生とリーダー格のお母さんがよく怒る怒る。
やはり幼少期から規律を守るよう教育することは万国共通なんだなと思わせる一幕でした。
そこそこの距離を歩くと教育博物館に到着。
中に入ると博物館らしく展示物がたくさん並んでおり、入口入って右側にある地下への階段を降りるとちょっとしたロッカールームになっており、コートをかけられるスペースとトイレが設置されていて、まずは子供達のトイレタイム。
それから職員らしきお姉さん2人の引率のもと、2班に分かれて博物館を回ります。
僕は当然長女のいる班に付いて回ったのですが、そのお姉さんが昔の学校の様子が描かれた絵の前でガンガンオランダ語で何かしゃべって、おそらく描かれている絵に対してクイズ形式で子供達に質問を投げかけている様でしたが、質問の内容が全く分からずこっそり長女に「今なんて言うたん?」と聞くと「早過ぎて全然分からん。」と返って来ました。
英語とオランダ語のバイリンガル現地校とは言え、やはり基本的に軸はオランダ語なので先生も子供達もみんなスーパー流暢なオランダ語をマシンガンの様にしゃべるのですが、通い始めて1年以上経ったものの長女が付いて行けない状況を目の当たりにし、毎日こんな状態の中にポツンといるのかと思うと少し不憫に思いました。
教育環境を日本以外でと考え、オランダに移住したのは僕ら親の勝手なエゴかもしれませんが、何度も妻と夜な夜な話し合い、やはりオランダ(日本以外)の教育環境で子育てをするという僕らの意志は変わらず、今は言語の面で可哀想な状態かもしれませんが、近い将来「そんな時期もあったね。」と娘達と笑い合えるようになりたいと強く想っています。
とりあえず放置気味にしたこの1年間でしたが、娘達(特に長女)のオランダ語習得に対し、最近では校長先生も交え、地域のボランティアシステムを利用させてもらったり、言語聴覚士の情報を聞きつけ、言語療法(スピーチセラピー)を学校から要請してもらったり、子供達が異国の地で自由に羽ばたけるよう最善の努力をしていきたいと思います。
というだけあって、館内には中世の頃の学校の様子が描かれた絵や模型、昔の教室を再現した展示物などが並んでいてお姉さんの早口!?のオランダ語の説明を聞きながら、クイズ形式で子供達が答えて行くという流れが繰り返されます。
やはり積極的な子はガンガン手を上げるし、おとなしい子はモジモジしているのはどこの国でも同じなのかな?と感じました。
ただオランダの挙手は人差し指を突き上げます。娘達も例外なくそれが常識となっています。
日本では平手を挙げるのが普通でしたが、国が変われば常識も変わりますね。(フィリピンでは拳を突き上げるとか)
約1時間の博物館課外授業が終わり、また駐車場への道を並んで歩きます。
悪ガキがまたあちこち行くので、本気の形相で追いかけたり、反対側の肩を後ろからトントンと叩くイタズラをしかけたり、なんとなく仲良くなれた気がしました。
帰り道は工事か事故で高速が渋滞してしまい、約30分の道のりが倍の1時間以上かかってしまいました。
車内では僕がiphoneに入っている音楽をかけると子供達が「その曲は嫌ー!」と何度か繰り返すノリが始まったり、男子が腹が減ったと言い出し、「キャンディ持ってないの?」と僕に言って来たことをきっかけに、かばんからキャンディを探すフリをして「ネー!!!(オランダ語で"No")」と叫んでみんながズッコけるというノリを何度も繰り返したりして盛り上がりました。
長女ははしゃぎ過ぎて若干持病の喘息が出てしまい、帰りの車ではおとなしかったですが、「私のパパはノリが良くておもしろいやろー!」とクラスメイトに披露出来て良かったというニュアン