ここ数年は遺伝子フィーバーが下降するにしたがって、腸内細菌ブームになっています。
・腸内細菌がホルモンバランスに影響する
・腸内細菌のバランスによって思考が変わる
・腸内細菌のバランスによってさまざまな病気になる・・・etc.
このような事実は確かにたくさん報告されるようになりました。そこでプレバイオやプロバイオが重要だという喧伝がなされています。
私は、これは遺伝子治療と同じ構造(過ち)になっていると考えています。
あくまでも腸内細菌のバランスは結果であって、それが原因ではないと考える立場です。遺伝子変異も結果であって、それがガンなどの原因ではないのと同じです。
それよりも重要なのは、何が腸内細菌のバランスを変えたり、ガンや自己免疫疾患を引き起こしたりするのかということです。
最近になって、口腔内、腸内の常在菌(Bacteroides)でも病原性をもつ、つまり炎症を引き起こすことが分かってきました。
具体的には口腔内、腸内の常在菌(Bacteroides)の分泌する脂肪もあるメカニズムで炎症を引き起こし、動脈硬化の原因になることが報告されています(J Lipid Res. 2017 Oct;58(10):1999-2007)。
このようにタンパク質だけでなく、脂肪成分でもアレルギーや自己免疫疾患が起こりえます。
さて、それでは何が慢性病につながる炎症をもたらしているのか?
12月2日(土)東京で炎症の真の原因について詳しくお伝えしていきたいと思います。
2017年のネイチャー誌に発表された新しい免疫に関するレヴューの知見もすべて盛り込んで現時点では最先端の「炎症総集編I」としてお伝えいたします。
この講義で、免疫学や病理学といった垣根を超えて包括的に自己免疫疾患、ガンなどの難病の本当の原因と対処法を知ることができます。
今年はこれで最後になります。今年やってきた基礎医学の総まとめになります。
当日は熱い討論をしていきましょう(#^.^#)。
病理学I:炎症総集編I(2017年12月2日東京)
『炎症とは何か?〜免疫学と病理学の新しいパラダイム』の概要
・炎症とは何か?〜免疫学と病理学はここに集約される
・急性炎症と慢性炎症
・急性炎症の過程
・慢性炎症の特徴
・線維化〜慢性炎症の末路
・炎症とセロトニン、エストロゲン
・なぜ初潮が早いひとに喘息が多いのか?
・血管新生〜慢性炎症、ガン形成の共通経路
・低酸素と炎症は相互依存関係
・血管新生を誘導する物質〜プーファ、乳酸
・炎症で誘導される2種類のリンパ球(B,T細胞)〜教科書編
・免疫学の教科書の記載はすでに遅れている
・ヘルパーT細胞のTH1/TH2 パラダイムは古い
・マクロファージのM1/M2 パラダイムも古い
・サイトカインの多面性
・エイコサノイドも多面的
・ステロイドの長期投与はなぜいけないのか?
・従来の生体内の形態形成維持
・炎症の基本―新しいパラダイム
・炎症のオフ機構
・炎症の誘因になる物質(ゴミ)―PAMPs, DAMPs
・炎症を引き起こすゴミ(DAMPs)の主体はプーファ
・好中球細胞死(NETosis)と自己免疫疾患、糖尿病
・目に見えないエネルギーもDAMPsへ
・PAMPs, DAMPsをキャッチするアンテナ~インフラマソーム
・プログラム細胞死という考え方も古い
・病的現象(炎症)が起こる真の原因
・なぜ胎児の傷は残らないのか?
・細胞、組織、生命体のおかれている「場」がすべてを決定する